アジアをフィールドにビジネスを創造する人=アジアンプレナーズ

アジアンプレナーズ紹介

ポータル・ジャパン株式会社 代表取締役 村山 慶輔さん

2011年06月10日

CIMG3156.jpg【プロフィール】
村山慶輔(むらやま・けいすけ)神戸生まれ。ウィスコンシン大学マディソン校情報システム学科卒業。インドで半年間のインターンシップを経験後、2000年 アクセンチュア(旧アンダーセンコンサルティング)入社。2006年 ポータル・ジャパン株式会社設立。日本最大のインバウンド業界向けBtoBポータルサイト「やまとごころ.jp」を立ち上げ、ホテル・小売、飲食・自治体向けに情報発信中。2007年 「第1回日中韓若手経済人コンテスト」にて、日中韓若手経済人新人賞受賞。
 



 【アジアンプレナーインタビュー(15)】


「日本の魅力をもっと世界に向けて発信し、
訪日観光客をオールジャパンで歓迎しよう。」


聞き手・文・撮影・構成/APS主宰 岡崎
 
 

■事業内容について
 

CIMG3116.jpg  岡崎:御社の事業内容について教えてください。

 

 村山:まず私たちには想いがあって・・・
「日本の魅力を世界に発信したい」という想いがすべての事業の根幹にあります。
そのために現在2つの事業を展開しています。

1つめが、海外向けWEBマーケティング事業。
多言語対応に特化したサイト制作で、英語・中国語・韓国語を中心にしたサイトの企画、制作、プロモーションまでをワンストップでご提供しています。

多言語対応といっても日本語サイトをそのまま翻訳するのではなく、海外ユーザーのニーズを汲み取ってデザインから言葉の表現、コンテンツを企画・提案できることが当社の最大の強みです。
また、現地の検索サイトで上位表示されずアクセスが集められないサイトにも改善のご提案をしています。

もう1つが、インバウンド観光支援事業。
主に、訪日観光客を集客したい事業者向けの情報サイト「やまとごころ.jp」の運営です。

メルマガ配信や調査レポートのダウンロード特典が受けられる「やまとごころ会員」は、現在約7,500法人に及びます。月1回の「やまとごころ勉強会」は現在までに21回を数え、加えて1年程前からは、「インバウンドビジネスフォーラム」という大規模なイベントも半年ごとに開催しています。

実は国土交通省でも、2003年から『ビジット・ジャパン・キャンパーン』を実施し、訪日観光客の呼び込みにはかなりの予算をかけているのですが、海外への情報発信がメインで国内事業者に対するサポートや啓蒙活動への予算があまり割かれてないのが実情です。
当社がその部分を補完できるよう、政府や各地方自治体ともより一層連携を深めていければと考えています。


■日本への想い
 

「自己主張が強くてハングリーなアジアの学生たちを見ていて、
このままじゃ日本はまずいなと思いました。」


CIMG3140.jpg    岡崎:村山さんはどうしてそんなにも日本の魅力を世界に発信したいと思うようになったのですか?

 

   村山:私は高校卒業後アメリカの大学に進学しました。当時兄が日本の大学に行っていたのですが、日本の大学生はまったく勉強している様子がなく、それって大学に行く意味あるのかな?と思っていたんです。

大学3年と4年のときには、AIESEC(アイセック)という国際サークルにも所属しました。 AIESECは、グローバルリーダーを生み出そうというミッションのもと、世界各国に学生をインターンシップで派遣しています。私はそのミッションに強く共感し、AIESECに所属しました。実はこのAIESECでの活動が現在の会社を起業するきっかけにもなっているんですが、本当に貴重な経験でした。卒業後、私自身もAIESECのインターンシップでインドへ行き、半年間インドのソフトウェア会社で働きました。ここで初めてWEBの仕事にも出会いました。

インド滞在中に何度か現地の小中学校に訪問してプレゼンテーションする機会があったのですが、現地の子供たちは世界地図の中で日本がどこにあるかも知りません。日本について知っていることと言えば、スズキとホンダくらい(笑)。私は子供たちから日本についてたくさん質問を受けましたが明確に答えられないことも多く、私自身がもっと日本のことを勉強しなければと強く感じました。

その後帰国してアクセンチュアに就職しましたが、30歳までに起業すると周囲にも宣言していたので、期限通りの29歳の時に会社を辞め起業したのが現在の会社です。

起業時に考えたのはやっぱり「日本を世界に発信したい」ということ。
その根拠は3つあります。
1つめが、留学時代に感じた自分自身が日本を知らないことへの反省。
2つめが、日本の情報が歪んで世界に発信されていることへの不満。世界には日本の街に忍者が歩いていると本気で思っている人がたくさんいるんですよ(笑)。
そして3つめは、日本人の自己主張の弱さに対する危惧です。アジア各国からアメリカ留学している学生たちはたくさんいましたが、みんな語学のスキルに関係なく、とにかく自己主張が強くてハングリーなんですね。そんなアジアの学生たちを見ていて、10年後20年後、このままでは日本はまずいんじゃないかと強い危機感を感じました。

 岡崎:村山さんの行動には常に変わらないビジョンが貫かれていて、とても説得力がありますね!

       
■世界から見る日本


「日本人は、グローバルなフィールドを想定する意識が
圧倒的に不足してます。」


CIMG3128.jpg  岡崎:そんな村山さんから見て日本はどんな国ですか?

 

 村山:日本にはすごくいいところいっぱいあります。世界中どこの国でサービス受けても日本にかなうところはありません。
ただ、情報発信があまりにもできていないことと、グローバルなビジネスフィールドを想定して能力を高めていこうという意識が諸外国に比べ圧倒的に不足しています。

例えば、地方で宿泊施設をやっている経営者には、海外行った経験がないという人も少なくありません。自分たちが言葉がわからないから「外国人受入れ拒否」というようなことを未だにやっている事業者もあります。
でも自分が海外に行ってみればきっと発想は変わると思います。せっかく海外から足を運んだのに、外国人だという理由で受入れを拒否されたらどんな気持ちになるでしょうか・・・

私は、これからの日本には、もっと外国人を受け入れる姿勢が必要だと思います。
それもオールジャパンで歓迎していくべきだと思うんです。
誰か一人の日本人の心ない対応で外国人旅行者が嫌な思いをしたら、彼らはもう二度と日本に訪れないでしょう。それはもはや日本全体にとっての損害です。

 岡崎:インバウンドといえば・・・やっぱり震災による影響はありましたか?

 村山:確かに震災を境に訪日観光客は減りました。でも今何もしなければ悪くなっていくだけです。
震災後、国内だけにフォーカスし直そうとしている事業者も結構ありますが、私は逆だと思うんです。訪日観光客は時期が来れば必ず戻ってきます。そのときのためにも今がチャンスだと発想を切り替えて、これまで手が回らなかった社員研修やメニューの多言語対応などをしてみてはどうでしょうか。

最近こんな話を聞きました。スイスにツェルマットという観光地があるのですが、自然災害で交通機関が100日間止まったにも関わらず、観光客が前年に比べて2%しか減らなかったそうです。

 岡崎:100日間も止まったのに?

 村山:リピーター対策です。スイスでは過去にその地域に来た人の情報を観光局が持っていて、そのDBを活用してDMを出すなど熱心に誘致したことでリピーターの呼び込みに成功したんです。
企業活動と同じで、新規で人を呼び込むよりも一度来てくれた人に繰り返し足を運んでもらうほうがはるかに効率的です。でも日本ではそういったことにまったく手がつけられていません。日本も国レベルで観光客を呼び込む仕組みを整えていくべきだと思いますし、努力次第では(災害を)克服できる可能性もあるということをスイスの事例が証明しています。


■今後の展開について


「自分が相手に何かを発信したいと思うなら、
まず相手のことを相手以上に知ることだと思います。」


CIMG3143.jpg    岡崎:御社の今後の展開について教えてください。

 

   村山:まず、多言語WEBマーケティングの分野で圧倒的No.1になりたいと思っています。
日本を世界に発信していく上で、世界中からアクセスできるWEBサイトは最も費用対効果の良い媒体として今後ますます需要が高まるでしょう。
また、「やまとごころ.jp」に関しても、日本を世界に発信する仲間作りの場としてNo.1サイトになりたいと思っています。

両事業には大きなシナジーがあり、私たちは、「ポータルジャパン」という名前の通り日本の玄関になりたいと思っているんです。ゆくゆくは日本の窓口になるようなメディアを自社で持ちたいですね。

 岡崎:村山さんの最終的な夢は何ですか?

 村山:海外にも事務所を抱えて国籍問わず意見交換し、それぞれの国の魅力を発信していけるようなグローバルでボーダレスな会社にしていきたいと思っています。

そのためにも、日本人としてリーダーシップを発揮し組織やグループを引っ張って行く存在にまず私自身がなりたいと思います。
そして更に、そういうリーダーシップを持った仲間たちを世界中に増やして行きたいですね。

私は、コミュニケーションて2WAYだと思うんです。まず日本のことをよく知り、そして相手の国のことも知る。
自分が何かを発信したいなら、相手のことも知ることが大切だと思います。このとき大切なのは、相手のことを「相手以上に」知ろうとする気持ちです。
それくらいの意志と行動力があれば、4,000万人の人口に対して7,000万人の観光客を集めるフランスのように、日本ににも世界中からたくさんの人を呼び込むことだって可能だと思うのです。

 岡崎:それでは最後にアジアンプレナーズサロン(APS)にもコメントをお願いします。

 村山:驚いたのは参加者のほとんどが既にアジアに向けてアクションをとってる経営者ばかりだということです。
質問の内容も、既に現地法人を創っているとか来月創る予定だとか、そんな具体的な話ばかりでびっくりしました。

あの場だけにいると、日本人もグローバルにビジネスをやっていきたいという意識がものすごく高い国なんだなという、良い意味での錯覚を起こした感じでした(笑)。
APSは単なる勉強会にとどまらず実際のビジネスに直結する情報交換の場だと思います。
今後は外国人のスピーカーや参加者もどんどん招き入れて、よりグローバルで刺激的な会になるといいですね。
私の周りにもアジア進出を考えている経営者はたくさんいますから、ぜひ紹介したいと思っています。

 岡崎:村山さん、今日はとてもビジョナリーなお話を本当にありがとうございました!
ぜひまたAPSにも遊びに来てくださいね!

 



CIMG3147.jpg【取材者のコメント】
日本最大のインバウンドのポータルサイト「やまとごころ.jp」。そのイベント内容や運営スタイルを見るにつけ、一体どんな方がどんな想いで立ち上げた事業なのかずっと興味がありました。そして今回村山社長のお話を聞かせていただく機会を得て、私は「やっぱり!」と思いました。一貫したビジョンで日本を愛し、そして世界を知るアントレプレナーだからこそ成し得る事業です。
村山社長なら、震災の痛手もきっとプラスのパワーに変えて日本を元気にしてくれるに違いありません!日本の魅力がもっと世界に伝わるように、私もオールジャパンの一員としてがんばりたいと思います。